鏡
「鏡よ、鏡、・・・・・。」こんな風に、鏡はいつの世にもなくてはならないものとして地位を確立してきました。
神社や宗教のシンボルとして祀られたり、物語の大事な小道具になったり。
「鏡よ、鏡、世界で一番きれいな人はだーれ?」 とお妃様は問いかけました。
「○○君、元気かな?」なんて鏡を通して語りかけられ、(ちょっと古いかな?)子供たちは自分の名前を呼ばれるのをテレビの前で心待ちにしていたのです。
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、○○になーれ!」と言えば、本当に返信できると思っていたり。
とかく鏡は特別なものでした。
一日に一度も鏡を見ない人はいるでしょうか?もちろん鏡とは無縁の生活をしている人、鏡が嫌いな人もいるでしょう。でも、駅のホームや車内、お手洗い、バスルーム、果てはウインドウまで、どこに行っても鏡はついて回ります。だからこそ、人は自分の顔や服装をチェックし、直したり意識したりしまゆよね。
最近、地下鉄やバスなど、公共交通機関の車内で化粧をする女性が増えてきました。朝寝坊をしてしまったり、時間に追われて、どうしてもしなくてはいけない場合もあると思います。
今朝も通勤のバスの中で一心不乱に化粧をしている20代の女性が。何度もファンデーションやマスカラを塗り重ね、思わず『塗りすぎだよ!そんなに塗らなくても・・・。それにスポンジでこすったら、取れたりよれたりして、余計に厚塗りになるよ・・・。』と、余計な心配までしてしまいました。
本人の「キレイになりたい」という気持ちとは裏腹に、化粧ポーチを膝に乗せ、落とすまいとしている、その足の格好があまりにハシタナク、みっともなく見えました。そのうえ、持っていた鏡の何と汚いこと!!手あかや指紋がビッシリと付いているのが遠目にもよく分かります。「百年の恋も一瞬にして冷めてしまう」くらいの汚さ。別に100均の鏡でもいいのです。きちんと磨いて綺麗に使っていれば。
『鏡は過去、現在、未来を映し出す』と言います。それなのに、あの汚さでは、残念ながら未来も・・・・。と思わずにはいられませんでした。
花嫁道具の中でも最も大切に扱われた鏡です。
どうか自分自身だと思って、綺麗に磨きましょう。
自分の未来を磨くのだと思って。
鏡は顔だけではなく、心をも映すものだと思って。
そしてご結婚式は、人間関係を映し出す鏡です。これまでの人との関係、付き合い、親密さやお互いを思う気持ち、様々なものが映し出されます。
いい結婚式にしたいと思っているかた。どうか周りのかたを大切にしてください。そして鏡を磨いてください。